■ 第1-2日 / 1月21-22日 ■

本来なら上野から「北斗星1号」に乗るつもりでした。昼過ぎに起きてゆっくりと上野に行って、デパ地下で買物をしてから上野駅地上ホームを楽しもう等とプランを立てつつ色々と準備を済ませて寝たのが確か朝の10時前でした。

駅 名
時 刻
列 車
線区名
東京
20:04発
3029B
はやて29号
東北新幹線
盛岡
22:27着
23:32発
1レ
北斗星1号
IGRいわて銀河鉄道
目時
通過
青い森鉄道
八戸
通過
東北本線
青森
通過
津軽線
中小国
通過
海峡線
木古内
通過
江差線
五稜郭
通過
函館本線
長万部
06:29着
06:29発
室蘭本線
沼ノ端
通過
千歳線
白石
通過
函館本線
札幌
09:20着
札幌ー西4丁目間徒歩移動
西4丁目
10:29発
 
札幌市交通局
1条線/山鼻西線/山鼻線
すすきの
11:12着
すすきのー札幌間徒歩移動
札幌
12:20発
3041D
サロベツ
函館本線
旭川
13:54着
13:56発
宗谷本線
稚内
17:50着

ところが、目覚めたら外が暗くなっていました。時計を見ると18時半。「北斗星1号」の発車は16時50分で、間に合うどころか今頃宇都宮の先を走っているはずです。あまりにもだらしのない己に呪いの言葉を吐きつつも、とにかく気を落ち着けて時刻表を調べると、1つだけ遅れを取り戻せる方法がありました。最終の「はやて」に乗れば盛岡で先回りが出来ます。他にも色々と調べましたが、これしか選択肢はありませんでした。

不本意ながら乗る事になった3029B「はやて29号」。最終なので混んでいるのかと思いましたが、結構空いていました。同じ新幹線と言えど、やはり東海道新幹線とはかなり事情が違うようです。

気分は物凄く落胆しているものの、やはりお腹は空きます。なので駅弁好きの間で好評なチキン弁当を買いました。左側は昔ながらのチキンライス、右側は鳥の唐揚げです。ドレッシングは唐揚げの下にあるレタスに使います。チキンライスでかなり咽が渇きますが、なかなか良い感じの味付けで美味しい弁当でした。食後の杏とプルーンのドライフルーツも良かったです。

今回の切符。簡単です。夏と違って、首尾よく往復共に個室が取れました。中段右側がこの大寝坊で強いられた無駄な出費分です。それでも乗車券を買い直さずに済んだのでこの程度で済みました。

22時27分、盛岡着。先頭側に繋いでいた3029M「こまち29号」の切り離しを行っています。作業自体は完全自働で行われるようでした。

駅から少し歩いた所に酒屋を見付けたので、酒とつまみを仕入れて散歩します。考えてみると、16時50分に上野を出た「北斗星1号」を20時4分発の「はやて29号」で追い越して、更に1時間以上時間が余るのだから新幹線というのは本当に速い乗物なのだと感じます。

駅前にはあまりなかった雪が、線路上には結構ありました。辺りはしん、としていて、いかにも冬の駅という風情の中、短編成の列車がごくたまに来ますが、立派過ぎる駅の設備とはあまりに似合っていませんでした。

まだ時間があるので構内を歩くと、DD51とED75の大きな模型がありました。説明看板によると、'72年10月に当時の盛岡機関区の職員さん達が10ヶ月掛かりで完成させた物だそうで、スケールは1/5、重さは600Kgもあるそうです。中を見るとエンジンらしき物も見えたので、もしかしたらレールがあれば自走も可能なのかも知れません。この辺りには他にも南極の石やチャグチャグ馬ッコの馬像等が飾られていました。

ようやく改札が開き、パタパタ式の案内板に促されてホームへと降ります。盛岡からの乗客は僕を入れても10人以下のようでした。

色々ありましたが、なんとかここで元のプランに戻りました。この日の「北斗星1号」を牽いていたのはEF81の81番機でした。それにしてもどうにも流し撮りが出来ません。ストロボを焚けないという条件があるものの、これだけ試して出来ないのだから僕には無理という事でしょうか。

発車して間もなく、車掌さんが検札に来ました。僕の切符を見て、あれ、上野からですか、と言うので、乗り遅れて「はやて」で追い付いたのです、と言うと、はぁー、と、感心半分、呆れ半分といった反応でした。

この日の個室は下段で、進行方向向きです。簡単に説明すると、

左上:窓側。肘掛けが付いています。
右上:ドア側。ベッドの上は上段スペースになっていて天井が低いですが、問題ありません。ドアの上には荷物置き。
左下:照明とエアコンのスイッチ。部屋の鍵は普通の鍵で、車掌さんから受け取ります。
右下:BGMサービスのパネル。何故かジョーン・ジェットの「I Love Rock 'n' Roll」が掛かったりしていました。

という感じです。今まで乗った個室B寝台の中では破格の広さでした。

途中「カシオペア」「北斗星2号」と擦れ違いつつ2時過ぎに青森到着。向かいにはちょうど「北斗星4号」が停まっていました。どちらも客扱いはありませんが、機関車を付け替えるので暫く停車します。

ガツン、という衝撃で目覚めると函館の駅名標が去って行く所でした。こうなるとなかなか寝られません。写真は5時35分着の森。夏に「SL函館大沼号」に乗って来た所です。寒さでエンジンが掛からなくなるのを防ぐ為か、何編成かのキハ40系が低い唸りを立てていました。

寝付けずに外を眺めている内に6時半になり、食堂車が開く時間になったので朝食を摂りに行きます。この日は空いていて、時折人が来たと思うと弁当を買って帰ったりで、結局僕が食べ終るまでに席に着いたのは2人位でした。

食事中に洞爺に停車。翌々日から6泊7日もここに滞在するとはにわかに信じられません。

9時20分、終点の札幌に到着。本当にホームの端ぎりぎりに停まるので、先頭側のDD51の顔は見られず仕舞いでした。

いつもの倍以上の着替えが入った荷物をコインロッカーに入れて散歩に出ます。市内には数日前の大雪が残っていましたが、北海道に行くのだから、と出発前に買った雪靴ががっちりと足許を固めてくれていて頼もしく感じます。

大通公園までは歩いてもすぐなので、時計台経由で準備が進む雪祭り会場へ。最近身辺が騒がしくなっている自衛隊の人達が雪像作りに精を出していました。

派兵の是非を問われれば、僕は非と答えますが、行きたがらない隊員も多いと聞きます。心情は解りますが、彼らは全員志願兵であり、職業軍人なのだから上官の命令一つで死ぬという前提で、言い方を変えれば自らの人権を切り売りする事で給料を取っているので、選択の余地はないはずです。ずっと放置してきた曖昧さがそんな所にも出て来るのかな、と思います。

例によってBookOffで空振り三振を喫した後に西4丁目の停留所へ。夏に乗り逃した市電に乗ります。車両はこの通り新しめの物で、ガーナチョコレートのラッピングが施されていました。この路線には丸っこい顔の可愛らしい旧型車もまだ多数走っているはずなので、ちょっと残念でした。

路肩に積み上げられた雪を避けて路上停車されたトラックのせいで数分間足止めをされつつも電車は進んで行きます。札幌は100万都市ではあるものの、中心部を少し外れると背の低い建物だらけになります。たったこれだけの距離でも結構街の表情が違って見えます。

40分少々揺られてすすきのに到着。街から町を抜けてまた街へ、と言った感じの路線でした。

食事を摂る所を探しながら札幌駅方面へ。西4丁目からすすきのへは市電だと40分程掛かりますが、この両終点は隣り合った場所にあるので、歩くと数分の距離です。駅へ戻りつつ市電の線路を跨ぐと、イモムシのような旧型車がいました。

たまたま通り掛かった旧北海道庁本庁舎。石造りや煉瓦造りの建物は大好きなので、次回来た時には時間を作って中を見たいと思います。

結局これ、と言う店も見付からなかったので駅まで戻って食堂街のラーメン屋で昼食。何の変哲もないラーメンチャーハン定食ですが、意外に美味しかったです。

札幌から稚内へは12時20分発の3041D「サロベツ」で一気に移動します。これは向かいのホームにいた札沼線のディーゼルカー。元々は50系51形客車で、余剰となった車両にエンジンを載せてディーゼルカーに改造した形式なのだそうです。「サロベツ」の車両はスーパーが付かない「北斗」等と同じキハ183系500番台でした。

北海道入りして以来、期待したほど雪がないな、と思っていましたが、札幌を出てすぐ、岩見沢辺りからはどんどん積雪が増えて旭川ではこの有様でした。

途中、駅そばが美味しいと評判の音威子府で上りの3042D「サロベツ」と行き合います。

終点の稚内に着いたのは日もとっぷりと暮れた後の17時50分。札幌を出たのが12時20分なので、実に5時間半も掛かっています。同じ区間を走る「スーパー宗谷」だと4時間58分で移動できますが、それと全く同じ所要時間で500系「のぞみ」は東京から博多まで移動してしまいます。やはりここは最果ての地なのです。

駅を出ると、町は雪に埋もれていて夏と全く違った風景になっていました。まずは宿へと向かいます。

前回泊まったさいはて旅館の前を通り、フェリー乗り場の方向へ向かって歩きます。歩道のかなりの部分が雪で埋まっていたので、所々で車道の端を歩く必要がありました。

ほどなく今回の宿である稚内全日空ホテルが見えて来ました。随分と贅沢なホテルを選んでいるように思えますが、冬場の稚内には観光客などいないらしく、僕が泊まった時には素泊まり1泊¥6,000、朝食を付けても¥7,000と夏に比べて1/4程度の価格で大出血サービスをしていました。前回は羨望の眼差しで見上げるだけでしたが、この値段のお陰で今回は泊まれました。

これが今回の部屋です。シングルの部屋はないようで、ツインのシングルユースになっています。やはり部屋の作りが全体的にゆったりしていて、ビジネスホテルとはかなり違います。

出張仕事がそれなりにあるので、年間で大体1ヶ月程度はホテル泊まりで、時にはかなり高級な所にも泊まりはしますが、やはり泊めてもらうのと自分の金で泊まるのとでは気分的に全然違います。

身支度を整えて散歩に出ます。今回は雪靴の他にジーンズの上から履けるアウターパンツも持って来ました。これが非常に暖かく、歩き回るのに全く不自由を感じませんでした。

写真は国内最北端のロープウェイ乗り場へと続く階段。これの存在も前回の時には知りませんでした。

駅の逆側の商店街。まだ19時半だというのに1軒も開いていません。泊まっているホテルがホテルなだけに、ちょっとした飲物等は外で買わないと無駄な出費がかさんでしまうので、この先の線路の近くのコンビニで少し買い出しをしました。

この日は左側に写っている網元という店で呑みました。未亡人らしいおかみさんが1人で切り盛りしている店で、入って暫くの間、客は僕だけでした。時折ぽつぽつと会話を交わしながらこの店が発祥らしいタコしゃぶその他をつつきましたが、料理の美味しいなかなか良い店でした。

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